恋愛白書
『やしなにお願いある』

「何?何?明日の宿題やり忘れて、今からやりたくないって?」


あたしは「ヘヘ」っと聞いた。


『いや。宿題はやったよ』


丈の声がワントーンくらい低くなる。


「珍しいな!じゃあ何?CD貸してほしいとか?」


ただならぬ雰囲気が感じてあたしは逆に明るく言い放つ。


いやな予感が押し寄せてくる。


『あの、さ』


丈が重い口を開く。


『絵里香がさ、泣いててさ』

「うん」

また、絵里香さんがらみ。

あたしの嫌な予感はいとも簡単に的中した。


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