恋愛白書
「もういいよ。それならはっきり別れよう。あたしそんな中途半端なのはやだ。丈は一生そうやって絵里香さんに利用されてればいいのよ」


あたしはそう言って電話を切る。


電話を切ったあと、涙があふれてとまらなくなった。
もうイヤだ。

こんな思いはごめんだよ。
もっと愛されたい。
そう思うのはワガママなのかな。

好きな人に愛されたい。
そう思うのは当然じゃない?

当然の彼女の権利だよね?

なのに当然の権利を実行できなかった。
あたしもあたしで臆病。

権利を実行したところであたしのところには何も残らない。


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