恋愛白書
「あれ?どのへんだっけ。なぁここの地図」


丈があたしに紙を見せる。

あたしはすでに涙でひどい顔になっていた。

丈に嫌われたかと思うと、悲しくて。
悲しくて仕方ない。
もう少し早く行動していれば。
と、後悔の念が押してくる。


「な…何も泣くことないじゃないか!」


丈がすごくあわてて制服のすそであたしの涙を拭う。


「だって。丈が、丈が」


あたしは泣いちゃって、言いたいことが言えない。


『好き』


その一言が言いたいのに。

「別に俺、お前のこと嫌いとか言ってるわけじゃないじゃん」


あたしの頬に手を当てて丈がそう言う。

キス。
したいよ。

丈と触れ合いたいよ。

こんな風に思ったのは初めてだ。

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