恋愛白書
「だって。あたしは丈のことがすごい好きなのに丈が冷たく突き放すから」


あたしは涙を流しながらそう訴えた。

冷たく突き放されるのは正直辛かった。
怖かった。

一人になってしまいそうで。
何もかも終わってしまいそうで。

この気持ちも否定されたような気がして。


「だって、しょうがないだろ。神谷がいるんだし。お前が神谷にいったって俺は何も言う資格なんかないし」


丈があたしに背を向ける。


「どうして?俺に来いとか言ってよ。それだけで女の子は安心するんだもん!」


あたしは丈に後ろから抱きつく。

早く。
丈と戻りたい。

そんな一心だった。

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