恋愛白書
「…丈」


やしながおびえたような目で俺を見る。


「変わり身早いんだな。お前」


こんなこと言いたくない。
俺にこんなこと言う資格がないこともわかってる。

でもひねくらた俺は
もう止められない。


「…そんなこと」

「じゃ」


やしなの声を無視して背を向ける。


ほんとはやしなのこと
俺のものだって抱きしめたい。


でも、この性格が邪魔をする。
こんな男いやだよな。

神谷のほうが頼りがいあるし。
実際俺よりモテるし。

まぁ、俺はぜんぜんモテないや。

いいんだ。
モテなくたって。

やしなさえそばにいてくれれば。


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