恋愛白書
「...の…」


少し遠くからなにやら声がかすかに聞こえる。


「はーい?」


お母さんが返事をして、向かう。


「そこ右に曲がったとこだけどよくわからないからやしな教えてあげて?」


相手の声がよく聞こえなかったがお母さんがあたしの名前を出したことだけはわかる。


「なに?」

「トイレ教えてあげてよ」


お母さんがあたしにそう指示をする。


「ほーい」


ドーナツをくわえながら返事をする。


うちの家の構造を恨む。
あたしはもっとドーナツを堪能したいのに。

トイレぐらいわかりやすく作れよっておもうが
仕方ない。

てか、祐樹が教えろよって
祐樹のことも恨む。

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