恋愛白書
「さっきから押し込んでばかりだなやしな」


丈が冗談ぽく笑う。


「どういうつもり?」


さすがに信じられなくて
怒ったようになってしまう。


「なにが?」

丈がきょとんとした顔。


「だから、なんであんなことお母さんに言うの?だいたい、あたしたち付き合ってなんかないでしょ?」

「俺がそうしたいから言っただけなんだけど」


丈の言葉に丈を改めてみる。


「え?」

「やしなは嫌?俺と付き合うの。こんな素直じゃないくせに自分が悪いくせにヤキモチは焼くような男嫌?」


丈があたしね顔をのぞきこんでくる。


...いや、なわけ
ない。


「いや、じゃない」


あたしはそのまま力が抜けて床に座り込む。


< 236 / 447 >

この作品をシェア

pagetop