恋愛白書
「やしな?」


虎があたしの顔をのぞき込む。


「虎...」

「あいつなしたの?」


篠原さんと話す丈を指す。


「わかんない。今日からいきなり」

「また気まぐれか」


虎が呆れたように笑う。


「気まぐれって」

「あいつの気まぐれたまに起こるじゃん。気にすんなよ」


虎があたしの頭を撫でる。


「昨日まではあたしにヤキモチ焼いてくれてて」

「うん」

「それが嬉しかったの」


あたしは丈の席に座る。


「ヤキモチ焼きすぎておかしくなったんだな」


虎が苦笑い。


「やしなちゃん」


後ろから神谷くんの声がする。


「お前、用ないのにあんま話しかけんな」


虎が神谷くんの腕をつかむ。

< 262 / 447 >

この作品をシェア

pagetop