恋愛白書
「ほんとにどうしたわけ?」


虎がデッキにつく途端に聞いてくる。


「なにが?」


「丈に聞いても何にも言わねーし」

「あたしだってわかんないよ」

「だからって神谷のとこ行くのは違わない?」


虎が真剣な顔になる。


どうしてあたしたちの周りには
こんなに真剣にあたしたちのことを考えてくれる人がいるんだろう。


「一方的に丈が篠原さんと仲良くしてるだけだもん。なんで丈はよくてあたしはダメなのよ」

「あいつがやってることがいいなんて言ってねーよ」

「でも、考えたくないの。近くにいたくないの。嫌でもみえちゃうから」


あたしはデッキのゴミ箱に座る。


「まぁ、な。でもさ、丈のこともちゃんと考えてやって」


虎が頭をさげる。


「虎!やめてよ」

「絶対にまだやしなを好きだから」

「うん」


丈があたしを好きだって。
わかってるつもりでいた。

でも。
今はわからないよ。
< 291 / 447 >

この作品をシェア

pagetop