恋愛白書
「…ぁ」

神谷くんを見たと同時に後方から来ている丈が目に入った。


━━ドクンっ

あたしの胸の中に
黒い波が押し寄せてる。


丈の隣にまた篠原さん。
何でいつも篠原さんといるの?

本当はすごく聞きたい。
でも聞けない。

丈が篠原さんを好きになってるんじゃないかって怖いよ。


「入ろ?」


神谷くんが建物を指さす。


「うん!」


神谷くんなりに気を遣ってくれてるんだね。
あたしはその優しさが嬉しかった。

修道院の中にみんなで入る。
中は何だか神聖な感じ。
修道院だし当たり前か。


「キャハハハ」


後ろから聞こえた笑い声。
篠原さんだ。


「だろ!?」


丈の声も聞こえる。

嫌。
あたしの知らないところで
その人と仲良く話すのはやめて。


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