恋愛白書
「やしな~?」

みんながあたしを呼ぶ声が聞こえる。

戻らなきゃ。
たぶんこれから夜景を見に行くんだろう。

涙を拭いてトイレを出る。


「あ!いた!心配したよー」


ちょうど光がトイレの前にいた。


「ごめん!踏ん張ってたぁ!」


冗談を言って場を和ませる。


「ほらっ!夜景見に行くよ!」


光があたしの腕を引っ張る。


「あ…」


光に連れて行かれた先にはみんながいた。

まちゃ、丈、モリー、トラ。
いつものメンバーだ。


「みんなで夜景見に行くよ~!」


まちゃがそう叫んだ。

嬉しい。
丈とは見れないと思っていたから。


丈がここにいる
それだけでいまはいい。
気持ちが離れていたとしても
あたしは気づかないふりをしてあげる。


< 302 / 447 >

この作品をシェア

pagetop