恋愛白書
「1人お願いします」


受付の人にそう告げる。


変な子に思われるかな。
寂しい子に思われるかな。

でも今のあたしにはそんなの関係なかった。

人にどう思われようと良かった。

一人になる時間が必要だったんだ。


━━バンッ!


「2枚で!」


後ろから音とともに声がした。


「…丈」


ふりむくと息を切らしてる丈がいる。

肩をすごい揺らしてて、
急いできてくれたってわかる。

そんな丈を見てあたしの正直な胸は高鳴った。

やっぱ好き。

諦めるなんて無理。


「あ!これ見せなきゃダメなんだ!」


丈が中学の名前と修学旅行である旨を書いた紙を受付に渡す。


「これで修学旅行用の料金だって」

「そうなんだ」

「丈、息切れてる。大丈夫?」

「おぉ…。ちょっと疲れたけどなっ」


丈が笑顔になる。


この笑顔はずっとあたしのものであってほしい。

あたしたちはお金を払い、ロープウェイに乗る。

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