恋愛白書
あたし達は向かい合って座った。
ロープウェイに。

二人とも話出さない。
なんか怖くて。
沈黙を破るのが。

沈黙を破ることがこの先の未来。
暗い未来に繋がってそうで怖い。

そんな中。
沈黙を破ったのは丈だった。


「…なんで?」

「え!?」


いきなり沈黙を破られたのですごい驚いた。


「なんで、一人で乗ろうとした?」

向かいで丈があたしをちゃんと見てる。

あたしは丈を見ることができない。
丈の目を見れない。


「…篠原さん」


下を向いたままそれだけ呟く。


「は!?」


丈がイライラしてるのが分かる。


…嫌だ。
こんなの今までのあたし達じゃない。

バカ言って。
笑い合って。
時には喧嘩して。
でもすぐに仲直りして。

そんな関係が好きだったんだ。

でも、もうそんな関係には戻れない気がする。

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