恋愛白書
「あたしね、タケに告白されたの」


歩きながら智香がそうつぶやく。


「…え?」


智香の言葉にあたしの足取りはストップした。


胸の奥で悲しみが湧いたんだ。


「…やしな?」


頭上からあたしを呼ぶのは
どう聞いてもあたしが好きな人の声で。


「突然止まってどうしたの?」


きょとんとした顔であたしを見つめる。


「なんでも、ない」


あたしはそのまま智香の元に走る。


この旅行で
丈と戻るって信じてるんだけど。

でも、タケに気持ちもやっぱりまだあって。

智香に告白したってのが
ショックでたまらなかった。

ほんと自分勝手。


でも、タケのことをちゃんと忘れないうちに
新しい恋に出会ったから。

どうしても思い出してしまう。

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