恋愛白書
「お前ら帰ってくるの遅すぎ」


ガサって音が聞こえたかと思うと
好きな人の声が聞こえてきた。


「…え?」


振り向くと大好きな人のちょっと焦ったような顔があった。


「丈!」


と彼の名前を呼んだのはあたしではなく


「…神谷?」


神谷くんだった。


「おう!」


丈に片手を上げる。


「なんで神谷が…」


ものすごく嫌そうな顔になる。


「智香と俺、いとこ」


神谷くんは智香の肩をポンっと叩く。


「まじかよ」


その反応はさっきのタケの反応と全く同じ。


「帰るか」


タケが立ち上がる。


「うん」

「大丈夫?」


とあたしの手を取って立ち上がらせてくれる。


「ありがとう」


< 358 / 447 >

この作品をシェア

pagetop