恋愛白書
「お前ら帰ってくんのおそすぎ」


俺はそんなふうにしか言えない。
海にいるあいつらを見つけて声をかける。


「丈!」


俺を呼んだのはやしなの声じゃない。


…は?


「神谷?」

「おう!」


俺に向けて片手を上げてる。


「なんで神谷が…」


俺多分、心底嫌そうな顔になってると思う。


「智香と俺、いとこ」


神谷が智香の肩を叩く。


「まじかよ」


ただでさえやっかいなやつがいんのに。
もっとやっかいのがきた。


「帰るか」


タケが立ち上がってやしなに手を差し伸べている。


「うん」

「大丈夫?」


なんてやり取りして、やしなの手をにぎってる。


絶対に取られたくない。
そんな感情に駆られた。

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