恋愛白書
「丈!」


後ろから俺を呼ぶ声と走ってくる足音がきこける。
それもこの世で一番すきな女の声。


「…幻聴か」


俺はそのまま歩く。


「ちょっと待ってよ!きゃっ!」


幻聴では聞こえないような叫び超え声が聞こえてきて振り向く。


「え?」


ちょっと離れたところで
何かにつまづいたのかうずくまってる姿。


「やしな?」


俺は小走りでやしなのところに行く。


「…大丈夫?」


やしなに手を差し伸べる。


「いったぁー」


と言いながら俺の手を掴む。


掴まれただけで胸が苦しくなるなんて
俺ってこんなに人のこと好きになるんだ。


「ありがと」


立ち上がって俺の手を離す。


離れた手に寂しさが募る。

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