恋愛白書

なくしたもの-Yashina-

「もうすぐ学校祭だー!!」

「だねー!!」

「やしなは丈くんと一緒に回れるもんねっ!!」

「うんっ!!」


体験学習で丈とまた付き合うことができた。

そのあとの夏休みは毎日のように丈と遊んだ。
今までを取り戻すように。


「その指輪」


光があたしの右手の薬指をさす。


「あ、これ」

「丈くんからだよね?」

「うん」


夏休み。
また増えたあたしの宝物。


『俺のものっていう証ね』


なんていって照れくさそうに丈がくれた。


『俺も同じのあるから』

ってもうひとつ見せてくれた。

お互いに指輪を付け合って。


『結婚式みたいだね』


なんて二人で笑った。


『いつか左手な』


って左手の薬指に触れる丈がたまらなく愛おしかったんだ。

指輪っていっても。
あたしたちは中学生だから。
世間の人かいうようなそんな高いものなんかじゃない。

でも。あたしにはどんな高いものよりも魅力的だったんだ。


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