恋愛白書
「高跳び。適当にやろうね」

「もちろん!あとは丈の応援するんだから!」


あたいしはガッツポーズ。


あ。
指輪したままだった。

カバンに入れようと思ってたにな。

仕方がなくジャージのズボンのポケットに入れる。

ポケットにチャックがついてたらいいのにな。


〝3年1組、真壁やしな〟


あたしの番だ。


「はいっ!」

一歩後ろへ下がり、助走して走り始める。


━━カラーンッ


バーが落ちる。

当然、跳べなかった。

跳べないというか跳ばない。
跳ばなかったら、早く終わるわけだし。


〝3年1組、前島光〟


あたしと同じように光が呼ばれる。


「はいっ!」

光も助走をつけてダッシュをする。

一瞬光があたしを見て、また前を向く。


━━カラーンッ


さっきと同じ音がして、バーが落ちる。


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