恋愛白書
…ん?

指、輪がない。

うそでしょ。
どうしたら。

高跳びのところ?
どうしようなかったら。


あ、るよね?
あるに決まってるよ。

だってあそこ以外考えられないもん。
せっかく丈からもらった大切な、大切な。
大切な指輪。

丈の気持ちがたっぷりつまった指輪。
なくしたくない。
ずっと、ずっと

持っていたい。

だから、なくしたくないよ。

大切だもん。宝物。


「どうしよう、光」


横にいる光に話しかける。


「ん?どした?」


光があたしを見る。


「あのね…」


━━パーンッ


話し出そうとした瞬間ピストルの音が鳴る。


その音で、フィールドに目を移す。


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