恋愛白書
「あ。やしなーさっきなんだったのー?」

「ごめん。ちょっと行って来る!」


光にそう告げ走っていく。


「先生」


高跳び会場にいたのはあたしの担任。

「真鍋。どうした?そんなに慌てて」


先生にもあたしの焦り具合が伝わったみたいだ。


「指…」

「指?」


息が切れてうまく話せない。


「指輪って落ちてなかったですか?」


息を切らしながらそう尋ねた。


「指輪?ないのか?」

「はい、」

「ちょっと待っててな」


高跳びの係りをやっている生徒のところに行く。

「見てないみたいだなー。あそこの白いテントに落としものが届けられるから、あそこでも聞いてみろ」


先生が反対側を指差す。


「はーい」


先生の言葉にあたしはクルリと向きを変える。


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