恋愛白書
「すいません」


運営本部にいる先生たちに話しかける。


「あれ。やしな。どうした?」


部活の顧問、大口先生。
おおぐっちゃんがそう言ってきた。


「おおぐっちゃん。指輪なくしちゃって。届いてないかなって思って」

「指輪ー?ちょっと待ってー」


おおぐっちゃんは、落し物の入っていると思われる箱を見に行く。

その間もあたしはひたすら祈った。
祈って祈って祈りまくる。
あるかもしれない。

だれかが届けてくれているのかもしれない。


「残念だけど…」


おおぐっちゃんが申し訳なさそうにそう言った。


「そっか。ありがとうございます」


あたしは運営本部をあとにした。


この指輪だけは絶対に
何があったってなくしたくないのに。

どうしてあたしの手からいなくなっちゃうの?


< 393 / 447 >

この作品をシェア

pagetop