恋愛白書
「やしな?」

「丈」

「探したんだぞー。見たか?俺の勇士!」


丈が誇らしげに言う。


「ばっちり見たよ。カッコ良かった」

「ホラ」


丈があたしに手を差し出す。

あたしはその丈の手に自分の手を重ねる。


「あれ?指輪は?もうつけてもいんじゃねーの?」


指輪がないことに気づき不思議な顔になる。


「そうだねっ!鞄に入れてたんだー」


咄嗟に嘘をついてしまっていた。


「そっか。そっちの方が安全だもんな」


丈は納得したように笑顔になる。


嘘をついてしまったことに
罪悪感を感じる。

まずいよな。
どうしたらいいんだろう。

見つかってないのに。
ないかも知れないのに。

困ったな。
絶対に見つけ出さなきゃ。
見つけ出さなきゃ、大変なことになっちゃう。

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