恋愛白書
「丈くん、おはよ」


篠原が俺の肩をポンっと叩く。


「はよ」


いつもなら何も答えない。
でも、どうしても篠原を利用してしまう俺はバカなのかな。


「今日は返事してくれた」


なんて目の前の女は喜んでいる。


「そんな嬉しい?」

「うん。話したいもん」


俺の隣の席に腰をかける。


「物好きだね。篠原は」


ふと教室の入り口をみるとやしなが教室に入ってきたみたいで目が合う。


やしなの視線が俺の隣で話している篠原に移る。


またやしなを傷つけるってわかっている。

でもむしゃくしゃするとどうしても篠原と話してしまう。
絶対に断らないから。


ヨリを戻してから、俺たちは約束をした。
極力話さないって。
お互い不安にさせたくないから。

俺は篠原と
やしなは神谷と。

お互い話さないことに決めたんだ。

なのに俺は
その約束を簡単に破ってる。

わかってるんだ。
でも、ちょっと今の俺には無理かな。


「篠原、帰り一緒に帰ろうか」

なんて気づいたら誘っていた。


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