恋愛白書
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「丈」


放課後、やしなが俺の席までやってくる。


「やしな」


どうしても気まずくなってしまう。


「一緒に帰ろう?」


やしなが俺の手を握る。


「ごめん、ちょっと」


俺はやしなの手をはずす。


「そっか...」


やしなが寂しそうな顔になる。


ほんとはその手をとって
一緒に帰りたい。

でもどうしても難しくて。
いまその手をとることができない。


「篠原、帰ろうか」

「うん!」


篠原が笑顔で立ち上がる。

こいつはいつまで俺のことが好きでいるんだろう。


「お前、やしなは?」


神谷が険しい顔になる。


「神谷には関係ない」


そのまま背を向ける。


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