恋愛白書
━━ガンッ


玄関から出ようとしたところ、背後から大きな音が聞こえる。


「あっ」


俺よりさきに振り向いた篠原が声をあげたので俺も背後に目をやる。


そこにはこれでもかってほど泣きそうな顔をしてやしながたっていた。

下に外靴があるところから
さっきのは靴を思い切り投げつけたんだろう。


「...やしな」


靴を履いてそのまま俺らのところまで歩いてくる。

歩いてきたかと思ったらそこに止まってなにやら首元を触ってる。


「これ、もういらない」


やしなから手に渡されたもので
手のなかがひんやりとする。


「やしな」


手のなかに渡されたものは
最初に付き合いはじめたときにあげていたネックレス。


俺の言葉に反応せず、そのままやしなは玄関を出る。


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