恋愛白書
「名前は同じの買えば、また彫ってもらえるしな」

「え?」


俺の言葉に泣きそうな顔になる。


「証拠になんかなんねぇよ。ほかは?」


俺の口はどうしてこうも勝手に動くのか。
自分で自分が嫌いになりそう。


「これ以上あるわけないじゃん。どうやって見せるのよ」


やしなの目から流れ落ちる涙。


「信じられない」


やしなの涙を拭ってあげたいのに。

どうしてそれもできないんだろう。
心と行動が伴っていなくて。
どうやったらこの暴走を止められるんだろうな。

「信じてくれないなら、いい」


そう俺に背を向ける。


「やしな...」


俺の小さなつぶやきはやしなに届くはずもなく。

またやっちまったらしい。

俺、なんでこんなにひねくれてるんだ?
はぁ。
疲れる、自分に。

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