恋愛白書

相手の気持ち-Yashina-

「さーて、席替えをするぞー」


5時間目の学活の時間。
担任からそう告げられる。

席替えか。

ついこの前までは


『隣になれたらいいね』


って言ってたのに。
それも昔の話。

今の丈がそんなこと言うハズがない。


「30番だ」


引いたくじの数字のところに名前を書く。


「やしなー!ドコ?」


まちゃがニコニコしてやってくる。


「ココ」


黒板の名前を指す。


「ちょっと前…」


まちゃが険しい顔になる。


「え?」


まちゃの表情に黒板はよく見る。


「…あ」


あたしの名前の前には


〝杉森〟


丈の字で書かれていた。


昨日の今日でこれはきつい。


「うわー。丈くんの後ろじゃん」


光も黒板を見て言う。


光とまちゃには昨日あったことを全部話したんだ。


「これも運だよね。よっぽど縁があるんだねー」


まちゃがあたしの顔を覗き込む。


「縁かぁ」


そんなのあるのかな。


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