恋愛白書
はぁー。
俺ってなんでこうなんだろうな。

あのロープウェイで別れを告げられたとき
ちゃんと捕まえておけばよかったって
あれだけ後悔したのに。

もう一度付き合ったとき
もう離したくない。
そう思ったのに。

俺はほんとバカなんだよ。
でも好きだからこそ
素直になれないんだ。


「ちゃんとやしなと話したい」


そんな思いが駆け巡る。

自分から声をかけるなんて
そんなこともできないくせいに。


「好きなんだけどなぁー」

「好きならちゃんと捕まえればいいじゃん」


後ろからそんな声が聞こえる。


「兄ちゃん」

「お前またやしなちゃんとなんかあった?」

「…まぁ、な」


俺は家の前に座り込む。


「とられるなよ。神谷に」

「…なん、で」


神谷の名前が出てきて焦る。


「さっき、公園で見た」

「…そっか」

「捕まえておけよ」


それだけ言うと兄ちゃんは家に入る。



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