恋愛白書
「なん、で」


丈がそこにいた。

ずっとずっと見たかった。
あたしを見てる丈。


壁によしかかっている姿が妙に色っぽくて。
なんかさっき教室で見てた丈と雰囲気が違う気がした。


「俺の、だから」


丈があたしの腕を引っ張る。


「はは。俺、先輩のこと好きとかないですよ?」


柴田が笑う。


「ごめん、柴田一人で帰って」

「はーい。また設置のときにー」


柴田は手を振って去っていく。


「やしな。あいつと帰ろうとしてたの?」


丈があたしの顔をのぞきこんでくる。


「あ、下までだけどね」


あたいしゃうまく丈のことを見ることができない。


「こっち」


あたしの腕を引っ張ってそのまま歩く。


「…丈」


つれてこられたのは見慣れた教室。


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