恋愛白書
「…あ」

「篠原になんかあげねぇよ。これは俺とやしなのもんだ」


あたしの指輪にそっと触れる。


「ホラ。俺にも」


そこには凛々しく輝いているあの指輪があった。


よかった。これで元通り。


「これもな、」


丈があたしの手のひらに何かを乗せる。


「…あっ」


丈が乗せてくれたものはあのネックレス。


去年の6月。
小樽で買ったあのネックレスがあった。


「ホラ。後ろ向いて」


あたしをクルッと半回転させる。

そしてあたしの首にネックレスを付けてくれる。


「ありがとう」

「俺、ほんとどうしようかと思った」


丈が後ろからあたしを抱きしめる。


「え?」

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