恋愛白書
「やしなー。俺の第二ボタンいらない?」


なんて神谷くんがあたしに寄ってくる。


「いらない」


答えたのはあたしじゃなくて丈で。


「お前に言ってないんだけど」

「俺の言葉はやしなの言葉でもあるの」


なんて丈の持論を繰り広げる。


「じゃあ、ネクタイ交換しよ?」


今度はネクタイを差し出してくる。


「ばっ!それこそ俺とだし!」


丈が自分の背後にあたしを隠す。


卒業式のジンクスがあって。
ネクタイを交換したカップルは永遠に幸せになれるって。


「じゃあ第二ボタン俺の持っててよ」

「ふざけんな。バーカ」


神谷くんの頭をたたく。


「第二ボタンくらいならもらってもいいけど」


なんか上から目線のこたえになってしまった。


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