恋愛白書
「いいの?」


絵里香が俺を見る。


「だって、一人で帰るって」

「そんなの強がりだろ」


兄ちゃんが俺の頭を叩く。


「いてっ」

「もっと女の子のこと考えれよ」


俺の髪の毛をぐしゃっとする。


「わかんねぇよ。...んなの」


俺はそのまま家に入る。


兄ちゃんと俺ってひとつしか違わないのに
いつからこんなに違いが生まれたのだろう。


「...好き、なんだよな」


俺の脳裏にさっきのやしなちゃんが映る。


会いてぇ。
さっき会ったばかりなのに。
しかも明日も会うのに。

そう思う自分がいた。

< 96 / 447 >

この作品をシェア

pagetop