チューリップ
俺は陽介に引きずり込まれるようにして理事長室に入った。
理事長は俺を見ても何も言わないで、静かに部屋を出ていった。
外ではいつの間にか球技大会が再開していて、3階にある理事長室にまで生徒たちの声が響いている。
俺はただただ呆然としていたと思う。
何も考えられなかった。
梨華を失うかもしれない恐怖と、想像もしていなかった事実に頭を完全に支配されていた。
「リュウ、大丈夫?」
「…あぁ……。」
やっとの思いでだした声もかすれている。
「隠していたわけじゃないんだけど……
ただあまりにも今のリュウには衝撃的すぎると思って言わなかったんだ
梨華ちゃんが18才だって…」
梨華が18才…
再び頭に衝撃が走る。
と同時に胸も締めつけられた。
改めて突きつけられる真実は俺を苦しめる。
まさか本当に、俺と同い年なのか…。