チューリップ


何の反応も示さない俺に陽介は何も言わず、理事長室から出て行った。


もうすぐ俺たちが出るサッカーの決勝が始まるだろう。


でも俺はしばらくその場を動くことが出来なかった。




梨華は無事だった。


それに、会いに行くことだって出来る。





なのに、俺の頭が割れるように疼くのは
梨華が18歳であると知ったからなのだろうか?

もはや俺にさえわからなかった。




梨華が黙っていたことが許せない?


先生でないことに絶望しているのか?




また過去に戻っちまうのか?






ただ今の俺にわかることは事実を知ってもなお


俺は梨華が好きだということ



ただそれだけだった。
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