チューリップ
溢れ出す想い 〜リュウ〜
もう夏も本番で、半袖のシャツを着ていても外にいれば頬を汗が流れた。
蝉の声ももう聞き慣れてきた。
今講堂では1学期最後の登校日である終業式の真っ最中。
まぁ俺は出てないけど。
俺は花壇の前にいる。
あっつい太陽に照らされながら、チューリップはまだ賢明に咲いていた。
いつ枯れ、萎れてしまってもおかしくないようなチューリップ。
だけどそれは確実に上だけを向いている。
誰かに支えられるわけでもなく
自分の力で
天を仰いでいる。
「望みのない恋…」
望みのないことなんて
はなからわかってる。
俺はその場から立ち去った。
涙の跡を花壇に残しといたなんて気づかずに。