チューリップ
俺が睨むと女も睨め返してきた。



あんな小さい女に睨まれたって全然怖くなんかないのに、なぜかあいつから目が離せない。






俺は女を見続けた。
教師と目を合わすなんて大っ嫌いなはずだったのに。









自分でもどういう訳かわかんねぇけど、俺はしばらく女を睨み続けてから席に向かった。


いつもだったら絶対ありえない。


俺が教師に従うなんて。



けど、体が席へ向かっていた。あいつにはなぜか従っちまってた。






女は俺の行動を見て、微笑んだ。それを見てなぜか安心してる自分がいる。


「ありがとう。」



そう言って女は俺に頭を下げた。








「ほらね♪


俺の言ったとおり!」



席に行くと陽介がにこにこしながらそう言ってきた。


自分のしたことが恥ずかしくなって俺は急いで座った。



「っるせぇよ。」





俺が教師に従う日が来るなんて誰が想像できただろう。クラスの奴らも唖然としてる。







俺もびっくりだ。
< 11 / 265 >

この作品をシェア

pagetop