チューリップ
思えば梨華が来てからのこの2ヶ月、俺の生活は一変した。



朝起きる。

学校に行く。

授業を受ける。

友達と昼を食べる。

家に帰る。

夜に寝る。


笑う。

考える。

楽しむ。


普通の高校生がしていることをするようになった。


信頼できる奴ら。

大切な人。

自分の居場所。


数え切れないほどのものを取り戻した。



全部、梨華がいたからだ。

梨華が来て俺は変わったんだ。







「ガラッ…」



人気のない廊下にドアが開く音が響く。




俺はただただ立ち尽くした。



会いたくて

手に入れたくて


愛しくて…



だからこそ


近づきたくなかった





「梨華…」
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