チューリップ



何やってんだ俺は



梨華の涙を


流すのはいつも俺だ。




俺はそっと梨華の体から離れて、反対側の壁にもたれ掛かった。




「ごめん…

最悪だな…」


それ以上は何も言えなかった。



大切な人を大切にすることさえできず

守りたい人を守ることもできず


愛しい人を愛することもできなかった。




梨華、

ごめんな。
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