チューリップ



俺が席に着いたのを見て、女は自己紹介を始めた。



「では改めまして、美山梨華です!


これから1年間よろしくお願いします!!!」






美山梨華…。



いつもなら聞き流す担任の名前もなぜか頭に入ってしまった。










しかし次の瞬間、クラスの空気は女の言葉によって凍てついた。









「それにしても、最近は風邪がはやってるの?

欠席の方がいっぱいいるけど…。」







女は不思議そうに教室を見回している。






この女は何にも聞かされていないようだ。







このクラスは普通のクラスじゃない。





この学校の教師にとって、邪魔になる、出来の悪い奴らが集められてるクラスだ。



出席率が悪い、反抗的、卒業すらできない、そんな奴らの集団。




3年6組の担任になるってことは、問題児の見張り役をするってこと。






そんなことも知らずに担任を任されてかわいそうな奴。




今までの奴らはみんな、ストレスや過労で辞めてった。
< 12 / 265 >

この作品をシェア

pagetop