チューリップ
「生きることなんてどうでもよかった。


人を信じられなくなって、自分さえ見失って、俺にはもう何も残ってなかった。




生きる希望を

一筋の光を


くれたのは梨華だった。




でも、やっと取り戻した光をまたいつか失うんじゃないかと怖かったんだ。


だから俺は梨華から目をそらした。



お前が18才だと知ったときも騙されてたとかそういう気持ちより、お前を想う気持ちが俺を押しつぶす気がした。


教師と生徒という関係が無くなることがただ怖かった。」



俺の声だけが虚しく響く。


声が震えそうになる。

逃げ出したくなる。


こんなに自分の気持ちを伝えることが難しいなんて…。


ずっと自分からも逃げていたから知らなかった。



でも俺をまっすぐ見つめる梨華に俺のすべてを伝えた。
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