チューリップ
俺のすべてを梨華にぶつけた。


梨華を苦しめたかもしれない
そんな不安はあるけれど、自分でも驚くほど心は落ち着いていた。



何もいわずに涙を流す梨華に1歩ずつゆっくりと近づく。


手が届く位置まで行って足を止めた。




「ごめんな、お前から離れて。たくさん傷つけたけど、もう迷わねぇから。



望みのない恋なんかで

終わらせねぇから。



だから俺にお前を守らせて?」



「…っ。わ…たし、18才なんだよ…?私の方こそ…リュウを傷つけたじゃない。」


梨華は下を向いたまま声を震わせながら口を開いた。



「18才でも

ホントは教師じゃなくても


やっぱり俺にはお前しかいねぇんだ。」






「…ぁりがとう…。」






カタンと松葉杖が倒れる音が響く。



梨華にそっと手を伸ばして引き寄せる。



梨華は俺の胸にすっぽりと納まって涙を流し続けた。




俺はただただ梨華の温もりを感じていた。
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