チューリップ
闇の先に
取り戻した夏 〜梨華〜
所々にある白い雲が映える真っ青な空
少し聞き飽きてきた蝉の声
露出した手を必死に動かし仰ぎながら足早に歩く人たち
雰囲気を出すために窓際に飾られた風鈴
うんうんうん…!!
夏だ!!!!
本番だ!!!!
夏休みだーーー!!!!!!
バコンッ!!!
「痛いっ!!」
「梨華ー?さっきから何回目だと思ってるのかな…?
どれだけ進んだかなー?」
「まだ0問だよねー。」
「早くやれよ。」
「…すいません。」
決して素晴らしくはない見慣れた風景を窓から眺めること7回目、今回はついに教科書の角で叩かれました…。
楽しい楽しい夏休みだというのに
今、リュウと茉莉と陽介君でうちで勉強会をしている。
「っもうー、梨華が勉強会やろうって言い出したんでしょ!?」
「そうだけど…数学がこんなに難しいなんて忘れてたんだよー……」
「ほら!教員免許とるためでしょ?」
「…そうでした。」
そう!私は来年大学に行って教員免許を取るために英語以外の教科を教えてもらうことにした。
やっぱり教員になりたいのは前々からの夢だったし、きちんと胸を張って生徒達の前に立ちたいから。