チューリップ
「やっと着いた…。」
ケータイのディスプレイを見ると『23:02』と表示されている。
うちを飛び出したのはいいものの
リュウの家を知らないなんて…
陽介君に場所を聞いて悪戦苦闘の末たどり着いたら11時過ぎてるし…!!リュウ寝ちゃったかなぁ…。
それにしても…
おっきな家!!暗くてあんまりわからないけど、2階建てでとてもオシャレな造りになってる。私の目の前には私の背丈より高い立派な門。
私はゆっくりインターホンを押した。
「……はい。」
「リュウ?夜遅くにごめんなさい。梨華です。」
「…え?梨華?」
壁と一体化してるインターホンから聞こえてくるリュウの声が少し大きくなった。
「リュウ、ケータイうちに忘れたでしょ?届けに来たんだ。」
「あっ…そっかありがとな…。今開けるから入って。」
ゆっくり門を開けるとギィーーと大きな音がして心臓が加速する。
門から玄関まで短いけど道があることに感動しながらドアの前に立つと、ガチャという音がしてドアが開いた。