チューリップ


私が叫ぶと茉莉は声を出して笑った。手まで叩いてるし。


「何をそんなに考えてるかと思えば!!
まぁ梨華にしては気づいただけ上出来かな♪」


茉莉はまだお腹を抱えてる。

…もしかして…


「陽介君となんかあったの!?」

「何もないよ。うちにくる約束したくらいかな。
梨華とは違って本彼にはまたまだ遠いよー。」

「すごいじゃん!!
全然遠くなんかないでしょ!」


茉莉はハハと少しだけ笑った。


これは本格的に付き合いだすのも時間の問題だなーとこのとき私は勝手に思ってた。









私たちの夏はあっと言う間に過ぎていった。


こんなに切なくて

こんなに笑い合えて

こんなに毎日が愛おしい

夏がまた来るなんて
思ってもいなかった。



私たちは最高の夏を過ごした。




でも今思えば
このときだけだった


いつも私達に向かってくるのは

冷たい、厳しい、残酷な風だった





私はあなたの力になれてた?


支えになれてたのかな?




幸せな日々は

辛い日々があるから

幸せな日になる




そんなことを言う人がいるかもしれないけど


私にはそんなのただの気休めにしかならなかった




だっていつだって現実は


汚くて

黒くて

醜くて

残酷なものだもの





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