チューリップ
すれ違った親子 〜梨華〜
「何で?」
「何でだろうね。」
「おかしくない?」
「摩訶不思議だね。」
「何で見つからないのー!!??」
暑くて楽しくて暑くて暑かった夏休みも終わり、今日から2学期が始まる。
そしてただいまam7時30分、私、茉莉、陽介君の3人は職員室の近くの空き教室にいる。
「やっぱり情報が少なすぎるんだよ。しょうがないでしょ。」
「そうだけど…。
どこに隠れてるんだろうリュウパパ…。」
「そろそろ見つかってもいいと思うけどね。」
リュウの家で誓ったあの日からずっと3人でリュウの父親を捜してきたけれど、陽介君が父親について知っていたことも、
有名私立中学の教師で相当リュウに厳しかったことと、
祖父母をはじめとする親戚がほとんどいないこと、
くらいだったため捜索も息詰まってしまった。
「ていうか、そこまでして探す必要もないんじゃないの?リュウだってもう昔のこと引きずってるようには見えないよ。」
「今は梨華ちゃんもいるしね。」
「ううん、ちがうの。
確かに過去にとらわれないでほしいって言うのもあるけど、
私は親の愛情を知ってほしいの。
父親って、リュウが思っているような存在じゃないでしょ?」
私がそう言うと2人は少し笑いながらうなずいてくれた。
「梨華らしー。じゃあまたこれから頑張るか!」
「さんせー!」
絶対にリュウの父親を見つけて、リュウの思いを聞いてもらうんだ!!