チューリップ







周りには誰もいない。




あるのは闇だけ。







必死に走っても



叫んでも



光はなかった。






『あなたは誰?』




『なんのためにここにいる?』




どこからか聞こえてくる声に頭は割れそうになる。






「死にたい。」






そうつぶやいた瞬間














「梨華ちゃん!?大丈夫!?」



目の前には見覚えのある男の人の顔。


心配そうに私を見ている。


周りを見渡すと見たことのない落ち着いた部屋。


黒と白しか使われていないまるで男の人の部屋みたいな感じ…。











男の人?


男の人の部屋?





『ガバッ!』



やっと頭が働いてきて、急いで起きあがった。



私は夢を見ていたようだ。







「ずいぶんうなされてたよ。夢でも見てた?



教室で倒れちゃったから、俺の家に運んできたんだ。


何にもしてないから安心して♪」




やっと思い出した。







私教室で気を失ったんだ!!
< 16 / 265 >

この作品をシェア

pagetop