チューリップ




「6組の子達はとても繊細で、なんというか…うまく生きられない子達ばかりだったんです。


今はようやくそれぞれが自分の生き方を見つけて、必死に走っているところなんです。」


「そうなんですか…。それは大変だったでしょう。生徒達も美山先生も。」


「でも、私も実は高校時代いろいろありまして…この子達の支えになれればとしか思いませんでしたね。


あ、ここが3年6組の教室です。」



6組の教室に着くなり、岩城先生は深呼吸をした。


「やっぱり生徒達との初の対面は何度やっても緊張しますね。」


岩城先生は少し硬い笑顔で私を見る。



教室内からはガヤガヤとみんなの声が聞こえる。


私にはまるで皆も岩城先生を歓迎しているように思えた。



「では私が先に入るので、少し待っててもらえますか?」

「わかりました。」



私は岩城先生の返事を聞いてから教室の中へ入った。
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