チューリップ


「オホン!!私のことはどうでもよくて大切なお知らせがあります!


皆もご存じの通り、来週から新しく教頭先生がいらっしゃるんだけど、その先生が生徒達との交流のために今日から1週間このクラスの副担任をしていただきます。」


「マヂで!?」

「女!?」

「それこのクラスでいいわけ…?」


皆口々にいろんなこと言ってるけど、本気で嫌がっているようではないみたい。

とりあえず一安心。






「では早速、先生に入ってきてもらいますね。」


皆に一言説明してから教室の前の扉を開けて、岩城先生を呼ぶ。



「新しく副担任、そして教頭になられる岩城先生です!」


「岩城です。教頭として、それから少しですが副担任として、よろしくお願いします。」


「なんだ男かよー。」

「なんかダンディー!」

「出たーオジ専!」

「てか教頭なのに礼儀正しくね!?」



頭を下げる岩城先生を見てみんなはそれぞれ感想を述べてる。


雰囲気からなんとなく受け入れてくれているのはわかって少し嬉しくなる。





「………は?」





落ち着きを取り戻し始めた教室内に冷たい声が響く。



「リュウ……?」



不安そうに声をかける陽介君とクラスの皆の視線の先にいるのは


顔を青白くして目を見開いているリュウだった。





「……リュ…リュウ…?」


頭を下げていたい岩城先生から今まで聞いた中で一番低い声が聞こえる。








「…まさか………」




いや、そんなわけがない。



そんな偶然あるはずないじゃない。






でも顔を見合わせる2人の表情の険しさから頭に浮かんできた自分の考えを否定することができない。






「…隆太……」



「もしかしてリュウは…」



まだ目を見開く岩城先生に向かって声を絞り出す。







「川崎隆太は






私の息子です。」
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