チューリップ


「ここは結構穴場で、うちの生徒は滅多に来ないので…」


私が知っていた学校から少し離れた喫茶店で2人で向かい合って座った。



「ご注文お決まりでしょうか?」


可愛らしい笑みを浮かべた店員さんが近づいてくる。


「あ、じゃあ私はアイスカフェオレで。」

「アイスコーヒーお願いします。」


「かしこまりました!」


またあの笑顔を見せると頭を下げて離れていく。



私はまっすぐ岩城先生を見つめた。


先生は少し気まずそうに目をそらすとゆっくり口を開いた。




「美山先生はご存じなんですね。私と…隆太との出来事を。」

「はい。本人からも聞いてます。」

「そうですか…」



岩城先生は私の言葉を聞いて目を伏せた。



私はただ先生の言葉を待った。



岩城先生の口から真実が知りたいから。
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